やさしい税務会計ニュース
やさしい税務会計ニュース
文書作成日:2018/05/15
会社が赤字でも支払わなければならない税金

[相談]

 私はこのたび、10年間勤務した会社を退職し、会社を設立して事業を開始します。
 会社の本店は、店舗として賃借する物件の所在地に置こうと考えていたのですが、法人の設立登記を依頼していた司法書士から、次のようなアドバイスがありました。

 「賃借物件を本店とした場合、将来賃貸借契約が解除となった際に本店を移転するときには、移転登記費用や登録免許税が再び発生します。それらの将来的なコストを減らすために、本店は社長の自宅など、移転の可能性が低い場所にしておいてはどうですか。」

 上記のアドバイスに従うと私の会社の場合、本店は自宅のあるA県A市、店舗(支店)はA県B市となります(本店と店舗の所在する県は、同じ県です)。
 そのようにするとした場合、税務上留意すべき点はあるでしょうか。


[回答]

 ご相談の場合、法人市民税の負担が増えることが考えられます。また、法人が所有する償却資産についての申告(償却資産税の申告)の事務処理負担が増えることも考えられます。


[解説]

1.会社が納付する税金の種類

 会社(法人)に課される税金で主なものは、下記のとおりです。

  1. @国税…法人税、地方法人税、消費税
  2. A地方税…事業税、都道府県民税、市町村民税、地方消費税、固定資産税、償却資産税

 上記のうち、法人の市町村民税は、原則的には法人の所得(儲け)に対して課されます。
この法人市町村民税は、自ら計算した税額(ただし、一般的には税理士に依頼することが多いです)を、市町村に申告して納付します。

 次に、償却資産税は、毎年の1月1日時点で、土地・家屋・自動車以外の事業用資産(機械装置、器具備品など)を保有する会社等がその資産の内容を申告し、市町村はその申告された資産の価格をもとに算定される税額を、その資産の保有者に通知して、保有者がその税額を市町村に納めるというものです。


2.法人市町村民税の均等割

 法人の市町村民税には、上記1.で述べた所得に対して課される部分の税金(法人税割)のほかに、毎年度均等額を納付しなければならないとされている部分の税金(均等割)があります。

 この均等割は、本店や支店で市町村が異なるごとに、それぞれが所在する市町村に納める必要があります。
 このため、ご相談の場合には、A市とB市それぞれに、毎年度所定の均等割額を納付しなければならないことになります。

 なお、法人市町村民税の均等割額(標準税率)は、法人の区分・資本金等の額・従業者数に応じて、年額50,000円からとなっています。均等割額は、たとえ会社が赤字であったとしても納付しなければなりません。


3.償却資産の申告

 上記1.で述べた、償却資産(土地・家屋・自動車以外の事業用資産)の所有者(会社や個人事業主)は、毎年1月1日現在の償却資産について、その種類や数量、取得時期など法律で定められた事項を、1月31日までにその償却資産の所在地の市町村長に申告しなければならないこととされています。
 このため、ご相談の場合には、毎年1月1日にA市とB市それぞれに、償却資産の申告を行わなければならないこととなります。

 なお、償却資産に対する税金は、固定資産税として、原則的には毎年4月、7月、12月および2月中に納付することとなります。この税金も、会社が赤字であったとしても納付しなければならない税金です。


 以上のように、本店と支店の所在地を2以上の市町村に分ける場合には、毎年の税負担や事務処理の負担が増える可能性があります。将来の本店移転の可能性や、その移転による登記費用発生とそれらの税負担等を比較して、より負担の少なくなる方法を検討されてはいかがでしょうか。
 とはいえ、上記のとおり税制は非常に複雑ですので、法人の税金に関することは、ぜひ当事務所へご相談ください。


[根拠法令等]
地方税法2、4、5、292、294、312、341、342、343、349の2、350、351、359、362、383など


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
  本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
お問合せ
垣見和成公認会計士事務所
〒496-0045
愛知県津島市東柳原町2-27
TEL:0567-74-3800
FAX:0567-74-3801
メールでのお問合せ