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作成日:2010/07/06
【最新判決】個人年金の相続税・所得税の2重課税処分取り消し・最高裁



夫の死亡で支払われた生命保険の特約年金に、相続税に加えて所得税を課すのは二重課税に当たるとして、長崎市の無職女性(49)が国に課税取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は6日、二重課税を禁じた所得税法に違反するとして、国が勝訴した二審判決を破棄し、課税処分の取り消しを命じました。最高裁判決のため確定判決となります。

≪相続税について≫
被相続人が受けるべき生命保険契約等による個人年金受給権を遺族が相続した場合、当然相続税が課税されます。評価方法としまして、@解約返戻金相当額A一時金B予定利率をもとにした金額のうち一番高い金額で評価します。過去において年金受給権はかなり評価額が圧縮されるために、節税目的で加入が進んでいしましたが、今年の税制改正で、評価額が実額に近い金額となり節税効果がなくなりました。
適格退職年金契約により遺族に年金が支払われることになった場合は、被相続人の退職手当金として相続税の対象となります。
ちなみに、公的年金の遺族年金受給権は当然非課税となっています。
参考:http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4123.htm

≪所得税について≫
生命保険契約等による個人年金受給権を相続した相続人は、契約に基づいて毎年年金を受給します。この年金について、現状の所得税法は、雑所得として所得税が課税されいます。
ちなみに、適格退職年金契約の受給権に基づく年金や公的年金である遺族年金は非課税とされています。
参考:http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1615.htm

≪最高裁判決について≫
今回、生命保険契約による個人年金受給権が相続税の課税対処となり、さらに年金支給時に所得税が課税されることが二重課税に該当するのではないかということで争われた事案です。

最高裁の判決で「年金受給権と、運用益を除いた年金の経済的価値は同一で、所得税の課税対象とはならない」との初判断を示しました。
但し、相続税の対象となった年金受給権は、受給総額の6割にすぎないとし、残りの4割は運用益に該当し所得税の対象としました。

国税当局は42年にわたり二重課税を行っていたことになり、同種の保険契約は日本生命だけで210万件もあり、大量の返還請求が出る可能性があります。

≪更正の請求について≫
返還請求する手段として、税務上は更正の請求という手続きを取ります。通常の更正の請求は法定申告期限より一年以内に限って認められます。今回の個人年金受給に対する所得税については最高裁判決によって取り扱いが変わるため、更正の請求の提出期限は取り扱いの変更を知った翌日から2ヶ月以内になります。取り扱いの変更については、おそらく1ヶ月程度で国税庁長官から「取り扱いの変更について」の公表があると思われます。その公表があった翌日から2ヶ月以内が更正の請求の提出期限になると思われます。
但し、税務署処分について5年という時効がありますので、おそらく17年もしくは18年の確定申告分から更正の請求の対象になると思われます。

注)最新の判決のため、未確定事項が多く含まれております。
  適用に当たっては、必ず税理士等の専門家にご相談ください。
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